立つんだ。取り返しがつかなくなる前に。





「古泉!」



仲間の声が耳の端で聞こえた。
目を空けると。



「…どうしたんだ、寝不足か?」


そこに声の主…僕と同じ限定超能力者のリーダーがいた。

機関の会議に出席したあとうたた寝をしていたようだ。



「すみません…少し、眠れなくて。」

「…どうしたんだ?最近の「神」に何か動向でも…。」

「そういうわけでもないんですが…。」



最近の寝不足。
原因はよく分かっている…。



リーダーの言うような、「神」のせいではない。
ある意味では「神」のせいではあるけれど。



それは最近SOS団に訪れた変化だ。

「鍵」が「神」への気持ちを変化させたのだ。

明らかに変わったのは、「鍵」が意識不明となったあの日。



何があったのかは後日に聞いた。

だが、それだけでは説明しようのない変化があったのだ。




「鍵」は。
キョン君は。



「神」を。
涼宮さんを。




「…望んでいたはずだったんですが…ね…。」



予定調和だったはずの出来事が起こっていたのだ。
だから、最近閉鎖空間の発生は目に見えて減っている。



だけど僕は眠れなくなった。


痛いからだ。



体には何の障害もないけれど…。




「古泉?」

「大丈夫、です。」



ああ、立たないと。
明日も二人に、会わないといけないのだから。





痛い けれど。


END



キョンに失恋した古泉…のつもり。
ここのキョンはたぶん本気でハルヒが好きです。(笑)




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